六月に雨が

You should take your umbrella.

ドリーム・ホーム

 

ドリーム・ホーム [DVD]

ドリーム・ホーム [DVD]

 

 

原題:維多利亜壹號

監督:パン・ホーチョン(彭浩翔) 2010年 香港映画


血まみれです。

 

とにかくどんどん人が死ぬ。マンションの管理人さんから始まり

住人に、最終的には現場に来てしまった人まで
その数計12人。


殺したのは一人の女。
海の見える高級マンションヴィクトリアNo.1に住む為に
ただそれだけの為に。

 

 

 

 

こんなに殺し方っていろいろあるんだなぁと、阿呆のように次々と繰り返される殺人を見ながら、普通の銀行務めの女の子が、度胸とか爆発した感情というのでもない、とにかくどんどこ思い切り殺していくんだけれど

 

プロでもなければ、そんな簡単には人は死んではくれないよなと思うしかない、殺されかけてのジタバタから死の間際まで、凄まじい姿を見せてくれながら死んでいく人々に、あまりのことに、発作的な痙攣のような笑いでも出そうになった。

 

普通ならそこで震えあがり決意も翻しそうなものだけど、手際はプロ並みではなくても彼女の殺そうという気は本物で、痛そうな怪我を自らも負いながらも、とにかく息を止めるまで、これがダメならあれ、と様々に遂行していくのを呆気にとられながら見ているしかない。

 

殺人劇と同時に語られていく彼女の過去そして現在に、彼女を突き進ませるものはあっても、止めるものなんてもうないというのはわかるから。

 

そこに住むことを夢見て、地道に働きながら貯金してきたお金、それが父の手術代に使われることになり

 

たまに会う男、彼女の尽くし方だけを見ていれば恋人同士のようだけれど、どう見ても恋人とは言えない。自分勝手な欲望の相手というだけにしか見えない関係。


彼女の気持ちなんか誰も顧みてはくれず、マンションの値段はどんどん高騰を続け、もう少しで手が届くところまで伸ばした指もはねつけられるように住むことができない。父の発作まで見捨てても手が届かないものになった時


どうしてもそこに住みたい部屋の、マンションの住人を殺害すれば時価が下がることを狙って、殺人劇の幕が開いてしまった。

 

 

でも彼女の目は欲望に取り付かれたようにも、何かにとりつかれたような行動とはいえ、見えない。狂ったようにも、鬼になったようにも見えない。もうなんとも言えない、切迫感のある黒々とした目。


思うのは彼女は、自分に許しちゃったんだな、ということ。だから罪悪感など持つわけもないのかもしれない。

 

背景にあるのは香港の住居、不動産問題、などだろうし。恐ろしいほどのスピードで町を暮らしを変え、手に入らない価格にまで上がるそれに彼女は何を見たのだろう?
先に夢は見られないからって、そんなことしちゃ自分の心が死んでしまうよ、と哀しく思うけれど、そんなこと言ったところであの目で見つめ返されたら、返す言葉もありゃしない…

思わず抱きしめてあげたいと思ったところで死体がもう一つ増えるだけ、かもしれない…

 

 

 


パン・ホーチョンがやっと来た、と思ったらってずっこけた気はするけれど(初の日本全国ロードショー公開)映画として考えたらちゃんとしてる。盛大にスプラッタ、というか、だから秋生さんの人肉饅頭てきな、スプラってるけどそこでの描写というか殺していくあれこれといいスゴイけど、人間と社会のことを描いてる映画でもあって
手腕は感じるのだけれどでもパン・ホーチョン風味、というより、ジョシー・ホーのテイストなのかもしれない。突き抜けぐあいは。

 

ジョシー・ホー(何超儀)をはじめてみたのは「特攻!BAD BOYS」だったかな?と思っていたら、先に「パープルストーム 紫雨風暴」で見ていた。
そうだあの女性テロリストの迫力というか、なんだろう?と思っていて

特攻!BAD BOYSの取材か何かの雑誌で、この子だったのかと。たしかその時はショートヘアでボーイッシュで爽やかなのに、妙に落ち着きはあった。


で、プロフィールを見ているとカナダの士官学校出身とか見て、あぁそれで、あの動きの良さ、胆の据わりぐあいなのかなぁと思ったような記憶があったのですが。そんなジョシー・ホーが自ら制作にも名を連ねている主演作。

 

制作当時の報道など見てたのだけど、けっこう主導というか引っ張ってたみたいに書いてあり、ダークなものも好きだと言うし。
イーソン・チャン(陳奕迅)と「出てくれてありがとう」みたいにジョシーがハグしてたのも報道で見たけれど、ほんとに友情で出演という感じに、殺される価値もない男、でちょいと出ています。

 

 

ジョシー・ホー本人も以前にジョークにしていた*けれど、マカオのスタンレー・ホーの娘、というとあんな富豪のお嬢さんが?と思うかもしれないけど、自分が何者かの前に背景で見られるというようなことがあったとしても、そんなものにはとうに慣れての根性の据わった目なのかもしれないし。負けてない、もっと飛び越えたところ見てそうなと思ったり。

 


この映画と全然種類は違うけれど、人を選ぶかもしれないのは同じかもしれないけど、チャップマン・トーとの3D豪情も待ってよう。(チャッピー日本A片界で大活躍の巻き、らしい。阿金も出てた予告編)



 

3D豪情の予告編
ジョシーの笑ってる顔は可愛いけれど、一個港男が日本アダルト界に進撃という映画のようで苦手な人は要注意

 

3D豪情正式預告登場!  http://www.youtube.com/watch?v=Di5GqW1RK-4



 

 

 

 

 *香港バラエティの”子供を一番怖がらせ泣かせることを言ったほうが勝ち”っていうゲームにて「パパに言うわよ」と言ったりしてたの見た覚えがある。(本当に子供が出てきて泣くわけではないです念のため)

 

病み上がりにこんな血まみれ映画を…ですが前の入院中外泊許可で帰宅したらちょうどテレビで放映していたのが新宿インシデント、でダニエル・ウーに「ぉうぁわー」と声にならない声が出ながらもちょっと慣らされた気がする。そういう意味ではこれは、ちょっとどころじゃない映画ですが。

 

 

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(2010~2014に見た映画)