猫を拾いに
雑誌連載時に読んで気を惹かれ、一つ前の「ざらざら」で始めて買って、この本も楽しみにしていた。
まとまっていても印象は変わらず、雑誌に連載している時って、単行本化された時のことも考えて書いているのかな?と素朴な疑問を持つほど一冊の本として読み心地のいいリズムがあって気持ち良く最後まで読んでいた。
前作の「ざらざら」より今回はSFのような話も多い。でも表題作の「猫を拾いに」といい、不思議なようでそれはそう遠くはないような気もしてきたり。他の不思議な話にも今の現実の人や世の中にふと感じている空気や匂いが、あるのかなと思う。
京都を舞台にした話が2つ、収められていて、それが両極端なほど違うのもよかった。とても静かで、そっと読んでいたような話と、気の毒と言えば気の毒だけれどなんとも可笑しく、ほのかに可愛らしい話。
息子のいる母としてあれこれ違えど共感したり思うところのいろいろあった話や、えっ?と少し、本当にほんの少しなのが怖い話に、筒井康隆を思い出した話、現代的な御伽話のような話…とあれこれ思いながら読んだけれど
一つ前の同じ雑誌連載をまとめた短編集でも思った
タイトルの「ざらざら」という言葉に思い浮かべるイメージがそれぞれかもしれないように、読んだ人の数だけ違った思いを持つ話かもしれないとまた思ったのだけど、自分一人の中でも一つの”ざらざら”だけじゃないんだとも思っていた。
私が最初に思い浮かべたの、猫の舌、大きな飴玉の表面についているザラメ(あとで舌と上顎が痛くなる)なんかとこの「ざらざら」は違っていたけれど、だけどじゃあこのざらざらに触れている気持ちはどんなだろう?ああにもこうにも思えてきて、ああでもないこうでもない…と考えてしまうのが楽しい。
ちょっとずつ何かが残って、またふと読みたくなるんだろう。
この短編とほしよりこのマンガを目当てで購入していたのだけれど、ほしよりこのマンガは単行本化はしていないよう。ちょっと風変わりでこれもいつもおもしろい。 家に雑誌を置いておくのも大変だし、と勝手な理由で誠にすまないけれど、単行本化してくれると嬉しい。待とう。
追記:順番を間違えていたことに気付いたので、「ざらざら」の後に「パスタマシーンの幽霊」があってこの「猫を拾いに」でした。自分が順番を間違えて今「パスタマシーン」を読んでいるそのままに書いてしまった。すみません。
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