六月に雨が

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日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)

日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)

 

 

どの短編集に入ってたかな?と探そうと思っていたら再編されて出ていたのを貸してもらえて読んだのだけれど

(*印の登場人物は二八頁に解説があります)

冒頭いきなりそう書いてあって、あっ、声が出そうになるくらい驚いてしまった。

…あ~そうか、注釈が必要なのか…って自分が歳とったっていうだけの話なんだけれど、驚いた。

 

 

前にこの本を読んでいた時に

紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1))

紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1))

 

不惑といえどまったく落ち着きのないテレビ局のディレクター・寺尾文彦が、ドラマの打ち上げパーティーの席上で起った「常識では考えられない事件」の為に勤めるテレビ局を依願退職させられてしまい、同じく一枚看板のタレントに逃げられ首が回らなくなった元ロカビリー歌手の芸能プロダクション経営者・旗本忠敬らと共に一発逆転起死回生を賭けて、かつて名を馳せたという天才詐欺師・長島老人の指導のもと一大コン・ゲームを繰り広げる…”

 

おもしろい小説だなぁと何度読んでも思うんだけれど、でもこの時代や空気なんてものが「え~?!ワカンナイ~」って言われそうだな…

何しろことの発端、話の幕開けは戦後の闇市で起こった事件から始まっていて、主な舞台となるのはそれから月日が流れ軽佻浮薄も極まれりといったテレビ時代の芸能界で…という話に

登場人物たちのキャラクターや時折挟まれるネタ、「ロカビリー歌手」などというのからしてもう「何?」って

私がこの本最初に読んだ頃だって「ロカビリー?なぁに?」なんて人もけっこういたのだし、あちこちに散りばめられた映画や落語ネタなんかはかろうじてわかるくらいのものもあったり *1で、だからなお、今となってはもはやワカラナイことが多過ぎるのかもしれない、誰にでもかれにでも「面白いよー」と言えないのかもと思っていたことを、思い出した。

 

心地よく、乗せられっぱなしで運ばれてしまう文章に小気味いい会話、犯罪というにはあまりにも面白すぎる騙す側・騙される側のフツーではない人々や七転八倒ぶり、奇妙で滑稽な人間たちがジタバタと動き回っているうちに奇妙な絵が出来上がっていく…抱腹絶倒というより、読んでいる途中でちょっと本を置いている間も密かにニヤニヤしてしまうような楽しい本なんだけど、なんだけど…

 

しょうがないんだよね。自分だってそういえば年上の人に「面白いよー」と言われた本を読んで「???」物事は調べることは出来ても空気だとかどうしたって理解できない、「何言ってんの??」って思うこと、あったし。

 

だからどうっていうこともない、絶望したわけでもぜんぜんない(しないしない)、ただただそういうことをふと思ったというだけの話なんだけど

あぁ注釈のいちいち付いてる本って古典や勉強するような本というイメージもあって、自分が普通に読んできた娯楽小説が今では注釈必要なのもあるんだなって、あらためて思ったらあらビックリしたということでしょうね。

うん、だからどうだということもホントない。逆だってきっとそういうことあったりするんだろうなって思ったよという話。

 

だからふとamazonの値段を見たらこの文庫の価格が¥ 85円から¥ 3,800 円までなんてことにもなってるのかもしれませんが、ともかく私は(という言い方になっちゃうんだけど)おもしろかった。面白い本だとどちらも思います。

 

「紳士同盟」読んでわからないことがあったら小林信彦のコラムなんか読んでみるといいかもしんないし、そういうのを読んでいると狼男だよのマナベプロのくだりなんかもよりおもしろい気がする。

狼男だよ

狼男だよ

 

 

Kindleになってる…

それはともかくこれだって物心ない頃の話だものなぁ。だけどおもしろい。大人になって読まなくなった本というのも当たり前だけどあるんだけど、これはもう経年変化が大変だけれども、おもしろい。

 

 

紳士同盟はそういえばうちにあるのは新潮文庫版なんだけど、これは扶桑社、でも映画はたしかカドカワじゃなかったでしたっけ?薬師丸ひろ子ちゃんが出てて…ってことしか覚えてないよ。時任三郎も出てたっけ…?あ、何か歌があったような…それくらいしか記憶にありません、内容まったく覚えてナス。もしかするとまるで小説とは違う話だったような気もする…どっちにしてもつまりその、印象に残るような映画じゃなかった。

 

本作に限らず小林信彦の小説って、冒頭からこれは…と予感させる映画のオープニングのようだったり、映画的な感じはするのだけれど、だからってやっぱりね。小説と映画は違う、ということなんでしょうか。

 

って悪口言ってたら予告編があった。


紳士同盟(予告編) 

 

やっぱりぜんぜん別物でした。

歌はへんに印象に残るけど…女だ~てら紳士同盟♪…そういう話じゃない。ひろ子ちゃん小林信彦とは合わないのかもしれないけれど、どうせやるなら「極東セレナーデ」とかのほうがまだよかったんじゃないかなと勝手な感想。

 

 

 

*1:(これは親とかの歳の違い、見たり読んだりしてるものの違いもあるのかも)