夢のトカゲ
南天の隙間にトカゲがいた。
トカゲはじっとおとなしくそこに居ただけだったんだけれど、わっと一瞬驚いた私の躍動感。早くお逃げ、猫に見つからないうちに。
トカゲに会った、少ししてから夢に出てきた。何ということもない、ただ木の上にこうしてじっとしているトカゲを、少し離れた繁みの陰からそっと窺っているだけの夢だったのだけれど
夢の中でトカゲはなぜか「黄色い」ということになっていて、背中の辺りに大きく三つ黄色い楕円の模様が縦に連なっているトカゲ、だということになっていた。
色を見たのか、「黄色い模様のトカゲ」という言葉に後から夢に色をつけたのか。
どうでもいいことだけれど、どっちだったんだろう?そして一緒に繁みの陰にしゃがみ込んで「黄色い…」と話していた誰かも、夢の中では認識していたのか、夢の中でも曖昧だったのかもわからないけれど、どうしても誰だったか思い出せない。
こちらへ用が出来たというついでにふいに息子が急なお客さんのようにして顔を出したので、何となく落ち着かなかった。変なの、と自分でも思うけれど、盆正月のように「帰りますよー」「お帰りなさいー」と出迎えている時と違った感じ。
急に来て食事に行った先で「何にする?」と注文をまとめてオーダーして…そんなことを彼がしているのが、とても不思議な感覚。
家に戻ってもついお客さん用のカップでお茶をお出ししてしまった。
まぁその後は、変わらずゴロゴロとしていて「やっぱりゴロゴロしてしまう」と言うのに
「まだここでも落ち着くの?」と聞いてみたら「そりゃそうでしょう。家だもの。」と言われて、そうなんだ…とでもこの青年と生活していたんだと思うとやっぱりこちらは不可思議な気分がちょっと抜けなかったよ。
子供が大人になっている、というだけのことなんだろうけれど。ふいにそれが表れたようで、最初からこの人格というか一人の人だったような顔している人に、あれ?どうやってこの人と生活してたんだっけ?と思うようなおかしな感じがしたのだろう。
朝晩涼しくなったと思っていたのから、また一気に「寒い」と思うようになったけれど、まだ桃色と赤が咲きつづけている。
今年知ったこと、ベゴニアは長く咲く。