六月に雨が

You should take your umbrella.

曖昧

 
 
 
 
 
f:id:amenomorino:20141115091402j:plain

 

 

 

会いたくない人になぜ会いたくないと思うんだろう。私は自分のなぜ、が「こうだから」とはっきり一言で言えるほどにはわからない。

わからないから会えばますます混乱する、自分の感情がわからなくなり、笑いたくない(むしろ吐きたいくらいだけれどそれは体の状態なのか感情なのかわからない)のに、笑っている。酔ってしまおうと思って飲んだお酒で酔って、更に笑ってニコニコして心にもないことを平気なようにつるつる話してしまう。

これは良くないと思う。嫌だ。怖い。だから会いたくないのだけれど

一番大きい根本にある「だから」ははっきり知っている、今では。

気付いた、わかったのはずっと前。幼過ぎてわからなかった女の子はもういないというのに、否応なく顔を会わさなければいけなかった時、たぶんあの女の子にしていたのと変わらない態度、見せていた笑顔で、当たり前のようにごく自然に近づいてきて、私の怪我を聞いて心配していたと、跪くように私の腕に手を伸ばしてきた。

その自然な、当たり前だ、という親密な態度に、私はもうどうしていいのかわからない。

こんなに当たり前の顔をしているのだから、あれは当たり前のことだったんだろうか?私はとても苦しい、罪悪感のようなものを抱いてしまっていたのに、この人はどうしてこんなにも何一つくもりのない平気な顔をしているんだろう?

けれどその場に人が現れた途端に、すっと自然に不自然ではない距離をとり、適度と思われる接し方、言葉、顔にあっという間に変わってみせ

それを見た私は、あぁやっぱり、あれは間違ったことだ、この人はそれを知っている、知っているくせに平然としていて、そのうえ、人が居ない時に私に見せた顔は何一つ変わっちゃいない。

 

それが会った最後になった、もう会うことは二度と、たぶんないだろう。

互いに親になっていて、小さな女の子が出来ていたということに、どう思っているんだ、と腹が立ったのかもしれない、私はほのめかしていた。

知っている、覚えていると。

ほんの少しの動揺、そして瞬時に自分を守ろうとする盾のようなものが表れたのを感じた時、私が覚えていないと思っていたかったのが、そうではなかったら自分を守ろうとしているのか、と思うと、それ以上の気は、失せていた。

 

その時意味がわからなかった、後から意味を知ったことにどんな感情を持てばいいんだろう?それがとてもわからない。腹が立たないのかと言われれば腹は立っていると思う。気持ち悪くはないのかと言われれば気持ちは悪いと思う。

けれどそれは後でわかって思ったことであの時思ったことじゃない。

私はあの子の為に怒り、憎み続けるべきなんだろうか?

許すつもりは毛頭ない。

けれど憎んでいる、腹が立つ、許せない、許さないと言い続けなければ、言わなくても思い続けなければいけないのではないか、

そうでなければ、自分がとてもおかしいのではないか?

そんな気がしてしまうのがもっと嫌だ。

許せと言うのがおかしければ、許すなと言うのも同じくらいおかしい、と人に言われたなら思うだろう、きっと。

でも自分で自分に思う声にはどうしたらいいかわからなくなって、自分が間違っているんじゃないかと思うんだから、おかしなものだ。

 

 

●●だって、もう長くないらしいわよ

ふーんと言っていた。それしか言えない、言うことがない。

何も知らない人、ただ好きではないから避けていると思ってるだろう、避けているのは気づいていても連絡してくる、それほどの関係性かと言えば微妙なところだと思う。この人は少し古くさい身内感に縛られていて人も縛りたいのか、大人としてうんたらとか言いたいのかもしれないけれど、知れば大人としてどう反応するんだろう、と思っているうちにだんだんとバカバカしくなってきた。

言えないことなんてあなたにもあるでしょう、なくても想像力ってものがあるだろうから使って、だって私の他の面も見てるでしょうに、それもしないで何か言いたげにしているなら何とでも好きに思えばいい、と思っていた。

会えなくなるなら万々歳だとも、最後に何か言ってやろうという気持ちもなければ、バチが当ったんだと笑ってやりたいとも思わなかった。

会えば腹も立つだろうまた、きっと害虫のように踏み潰してやりたいな、例えじゃなく。でも会わなければ、会わないでいる間にどうなろうがどうでもいい、私は知らない。

私が本当に踏み潰しに行かないことが、あの子に悪いことをしている、置いてきぼりにしているようなことなのか、

会いたくないものは会いたくない。それだけじゃだめなのかな?

あの子の気持ち。私が知りたい、気にしているのはそれだけ。