六月に雨が

You should take your umbrella.

夢翔る人/色情男女

 

 

 

 

 

 張國榮-談情說愛 (官方完整版MV)

 

一心一意可算好 能同偕到老今人太羡慕
一生一個多美好 然而難比 第三者討好
HEY 講真一句 難道談情便必須先戴面具
HEY HEY HEY  問心底一句 難道誠實熱戀多一個是罪

 

”一途な心もいいかもね 一緒に年を重ねていけるなんてとても羨ましがらせる。
一生に一人、とても美しいこと だけど第三者の誘惑と比べるのは…難しい。

HEY ほんとうのことを言ってごらんよ 愛を語る時に必ず仮面を被る必要はないだろう
HEY HEY HEY 心の底の答えが聞きたいよ 誠実にもう一人を熱愛するのって罪になるのかな?”

 

 

というようなことを(だいたい)歌っている、歌手レスリーの華麗なる一面というか、こういう歌もレスリー・チャンが歌ってると許されるというか

皮肉とユーモアと品が絶妙なレスリーを思い浮かべると、ふふん、レスリーがそう言うならしょうがない、なんて思わず理解してしまいたくなるタイプの曲。

MVの停止画は「あら張國榮さん、ごきげんよう」という感じだけれど、始まったら映画の映像そのままになるのでご安心ください。

この曲はその挿入歌だったかな?イメージソング?忘れましたごめんなさい、だけど

音的にもこのC.Y.コン作曲のファンキーな感じ、ピッタリだったかもと思う、映画界を舞台にしたクレイジーな狂想曲の趣きも楽しく

タイトル通り刺激的、だけど人間的で、夢を追い、作る人たちの映画が「夢翔る人/色情男女」

 

 

ちょっとスランプ気味、なかなかヒット作にも恵まれない映画監督のシン(レスリー・チャン

なーにが芸術だー、お前はウォン・カーウァイか?!と書いた脚本もこてんぱんに却下されたかと思ったら、ようやく撮らせてもらえることになった映画はなんと三級品で…

 

 

日本にも年齢制限や、映画上映に関しての線引きというものはありますが、内容や線は色々違えど香港にだって当然ある。

でも一級の許可なんてディ●ニーくらい(児童向きの作品)しかおりないよ、という話も何かで見たことありますが、それはともかく三級品そのものは

日本でいうところのピンクな成人映画だけではなく、たとえば言葉、香港の簡単に言うなら放送禁止用語的な罵り言葉の類などや、暴力シーンなどが多かったりしても適用されていた、とのこと。(この映画当時は。)

 

 

ポルノといって何を、どういうイメージを持つかも世代や環境によってもずいぶん違うのかもしれないけれど、そのうえ香港と日本の違いもあって…

この映画そのものは、題材となっているのは、男女の絡み合う色情片、ピンク映画の世界。

なので香港では三級指定を受けたというけれど、日本の基準では一般映画で成人指定でもなく、内容的にも別に目のやり場に困るという映画でもない映画だと思います。たぶん。

 

映画作りにひた走ってるのか翻弄されてるのか…わからなくなるような映画監督を中心に、ピンクめいた映画の舞台裏だけれど、必死に一本の映画を作りあげようとする人々の泣き笑いの日々を、ユーモアも皮肉も夢も込めて描いた、ほんとにタイトル通りに、夢なの?色情なの?美しいの?色っぽいの?と聞かれたらどれもぜんぶ!と答えたくなる映画。

 

色情が苦手なら見ないほうがいいけれど、いい映画なので畳んで書く。

 

 

監督を任されたものの、本人に撮るつもりもなければ、心ふくめて準備もまるでなく、そのうえ主演女優はスポンサーの愛人だとかいう話以前に、大根どころじゃない、まったくほんとのドシロート、なのに態度のデカさだけはスター並みの生意気でわがまま放題のモニクちゃん(スー・チー

ノリノリのプロデューサー(ロー・ガーイン)はともかく、関わる人々、スタッフやみなさんもやる気があるんだかないんだか…

すったもんだの末に制作開始が決定しても、どーせこんな映画、とはなから投げやりムードも漂う、試合なんて始まる前から放棄してるような舞台裏。

 

 

頭の痛いシンは長年の恋人であり同棲中のメイ(カレン・モク)との間まで何だかギクシャクしてきながらも、ベテランのカメラマンと一緒に日本のポルノ映画を見ては「日本の名作撮ったあの監督だってピンク映画から出発したんだから」なんて自分達を鼓舞してみたり

なんとか誰一人まとまりのないスタッフ・出演者をまとめ、いい映画を作ってみせる、と映画完成というゴール目指して突き進んでいくのだけれど…

 

 

いきなり演技指導、といったってどう考えても無理すぎる、だけど彼女と接するうちに相手を少しずつ知り、ともかく彼女を一人の人間として認め、映画の話をし、と次第に自分も心を開くことで、モニクの心も開いていくシン。

そして彼女もそれに応えるように、少しずつ女優として意識を持ち始めるのですが、だんだんと知って、変わってもいく彼女の姿に、微妙な感情も抱きはじめ…ってこれはまぁほとんど、監督の独り相撲、というより監督自身が映画にのめり込んでしまった、ようにも思うのですが…

 

 

監督の心や私生活はグラグラ揺らぎつつも、どんな映画でも誠実に演じようとするだけでなく、人間的にも本当にいい人で心優しきポルノ男優(チョイ・ガムコン)の存在や、目覚めたモニクの努力、必殺低予算ながらもスタッフの頑張りやそして映画愛で、この作品、無事に完成することが出来るのか…?

 

 

ユーモラスにテンポよく描かれていくものの、まったく映画を一本作るって、ほんとに大変なことなんだなぁと感じるのは、主人公達ばかりにではなく、劇中、先輩の映画監督として登場のラウ・チンワン。

予算だなんだの事情に大スターを起用し映画を作るものの、スターのわがままに振り回され、あげく映画は惨敗。容赦ない世論やマスコミにも追いつめられて…

なんてこったい、見事なダイブを決めてしまう姿に、皮肉だけではなく

この映画の実際の監督であるイー・トンシン、彼の映画によく監督自身を投影する役柄で出演しているといわれるラウ・チンワンが演じているだけに

まったく…と監督の心情、映画作りの大変さ、やり切れなさ、溜息までも聞こえてきそうな気がするけれど

それでもやめられないのが映画というものなのかしら?

 

 

反対にというか、うわぁ嫌なやつだなぁと逆に感心してまう映画監督の役でアンソニー・ウォン(黄秋生)さんもちょっと出演。こういうクセのある人物の描写がホントうまいなぁ、誰を頭に思い浮かべて役作りしたんだか…聞いてみたい気もしてくる。

 

 

映画の特殊な世界を描いている映画。けれど、そんなに遠い話でもないような気もしてくるのは、どうにかこうにか頑張ってる彼らの奮闘ぶりや

大スターではあるけれど、そのスターのレスリーが、とても身近な、我々とそう大差なく感じるような、やけに等身大の、弱さも情けなさもある人物に見えてくる映画だからかもしれない。

高みにいるような芸術家じゃない、浮世から逃れようもなく、だけどナイーブな映画監督のふと見せる「壁が友達…」のような少年のような姿や、リアルな大人の疲れきった顔…そこになんとなく、イー・トンシン監督の吐けない心情も重なってくるようで、じわじわと味わい深い。

 

 

 

そりゃね、一生懸命になってればなってるほど、見ていたら滑稽でもある。それを目的に見ているならともかく、撮っている映画の裏側だから、真面目であればあるほど…という可笑しみも充分にあるのだけれど

だけど、最初はあの声からしてもう「ふざけてるのか」と思う、態度にもやる気の欠片も見せない「映画をなめてるのか?」と思わせるモニクちゃんが

ちょっとおバカな中に秘められた感情や、けれど人のことも穿った目で見ていた自分自身の間違いにも気付き…と人を理解し、されていくことで心の仮面が次第に外れ

相手役や皆と心が通じ合い、官能を、表情で、動きで、声で…表現し、本当に懸命に心を合わせて最高のシーンを作り上げようとしていく姿に

なんだかもう、涙ぐんでしまった。

 

 

 

スー・チーのポロリと零れ落ちるようなほろ苦さやせつなさ、女優へと変貌し、薄布一枚に包まれた官能的な姿は夢か幻のように美しく

この映画でいきなり最優秀新人賞と助演女優賞を同時にゲットして、一躍本格的な女優へと躍進、引っ張りだこになったのもそりゃもう肯ける。

そのスー・チーに同性でもドキっとするような幻想的で官能的なシーンの撮影は、実際にレスリー・チャンが演出、監督をつとめたという。

レスリーやっぱりあなたの撮る映画もいつか見たかった、と惜しい気持ちもあるけれど

90年代後半の香港映画の中でもちょっと異彩を放つ、大胆で楽しく、ほろ苦いけれどどこか優しい、夢と男と女と映画の物語。

 

 

 

夢翔る人/色情男女 [DVD]

夢翔る人/色情男女 [DVD]

 

 

原題:色情男女 1996年 香港

監督:イー・トンシン(爾冬陞)

出演:レスリー・チャン スー・チー カレン・モク チョイ・ガムコン

   ロー・ガーイン ラウ・チンワン 等等

 

 

香港ってわりとこういう面では保守的、イメージを気にすることも多いためか、この映画を撮る時、主演の監督役を引き受けてくれる俳優がなかなか見つからなくて、もうどーしよーとお困りだったというイー・トンシン監督に相談されたレスリーは二つ返事で「じゃあ僕がやるよ」と引き受けてくれたんだとイー・トンシンが語っていたインタビューを思い出すたびに

優しい、いい人、というだけではなく、躊躇なく飛び込むレスリーの冒険心や

本当に映画の夢を楽しませてくれる俳優だったんだなと、なんだかやっぱり嬉しくなる。

スターっていう輝きも好き、維持し続ける強靭さにも拍手喝采なんだけれど、イメージなんて軽々と飛び超えて、どんどん気持ち良く裏切っていって欲しい…そんな期待は映画ファンのわがままなのかもしれないけれども、やっぱり持ってしまうので

レスリーと同じ人はもう二度と現れないけれど、それは当然、誰かのコピーなんて誰のであっても見たいものではない。

でもあんな風に映画を愛し、本当の挑戦を見せてくれる俳優は、いつの時代にもまた存在していて欲しいなと思う。

 

 

この映画でのレスリーの恋人役を演じるカレン・モクの歌う、タイトルも映画と同名の曲

 

  

 莫文蔚-色情男女 (官方完整版MV)

 

莫張揚 李…と人の名前が並び

也許不想一個人 不想等 大半生
才想眼望眼 身貼身 即使有人 便發生

 

”一人のことを思わないとしても 待ちたくはない 一生の半分なんて
目と目が見つめあえば 身体と身体は近づいて すぐにある人は はじまっちゃう”

わかりやすい部分の歌詞でもちょっと意味深で、それ以外のところも、男と女のことを、皮肉も込めて歌っているような、抽象的なようで、分る人が聴けば意味は分かるそうだけれど香港の、たぶん大人の歌なのかもね。

 

映画ではさっぱりした女性、だけどリアルで色っぽいんだよねぇ。この歌も途中から「長すぎて邪魔」だという羨ましい足、見事なスタイルの良さも思う存分見せてくれている。

歌も映画もとてもいいんだけど、なんでか、よく言われている”セクシー”というよりは、セクシーなイメージを喚起させるのが抜群に上手い人だと思うんだけど、それはともかく

夜の香港の映像とその中で自由にポップに彷徨うカレンの姿は、いつ見てもいい。

 

 

 

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