a storehouse (mud wall
植物と壁が融合しているので、不気味に感じる苦手な方はご注意ください。
廃墟のようでも廃ではない、ベンベーン…
ってどのくらいの人がわかるのだろうか?
~のようでも~でない ベンベーン
と口三味線のような合いの手をはさみながら二度ほど繰り返し
それはなにかと訊ねたら?それ~~~
はじめからふしというか調子があり、ベンベーン、で手をバチのように動かしたり、そ・れ・は・な・に・か・と、とスタッカートのような独特のリズムでふったり、と
問答のようで音ネタでもある ベンベーン
ものでした。
あぁ上方の巨星が、と米朝師匠の訃報に触れて思い出したのかもしれない。
まだ子供でもあったので、既に桂枝雀のような型破りなほど演じる落語にも触れていて、その穏やかで端整な噺の良さがわからなかったけれど
噺ではなく話で出演されていたのを見ては、何事によらずとにかく物事を何でもよう知ってはるのに驚愕した。
けれど難しげにはけしてならず、たえず穏やかに柔らかに、わかりやすく話していたかと思えばしれっとした顔で笑わせる。
あまり我が我がと前へ前へ出るイメージもない方だけれど
一門会や落語家の集った席で冗談や洒落を言い、人の言ったことには心底楽しそうに目を輝かせて、朗らかに笑っていた顔に、これほど大御所となってもと、あぁほんまに心の底からこの楽しさが好きやねやなぁこの人と
思ったことを覚えている。
上方の粋、舞台に出る人の色気がほのかにあって
優しに噺に引き入れて、いつの間にかわぁわぁと沸かせ、下げればサラッと余韻を残し「あぁええ噺やったな」とまた穏やかな日常へ戻っていく。
当たり前のことのようで、何十年、数え切れないほどの高座でそれをして、させてきた人の凄みも、見せないけれどきっとあったのだろう。
関西を離れて落語も自然とより遠くなった私でも
6代目笑福亭松鶴が去り5代目桂文枝が逝き、この世はさびしくなるばかりだけれど、あちらはずいぶん賑やかなことで。
とうとう3代目桂米朝の来演に大いに沸いていることだろう。
こんな豪勢な顔の揃う寄席があるのかと思うと、あちらにいく日が来てもそないに悪くはない、少なくともさびしい思いはせずにすむ。
その時にはぜひ大御所ばかりの豪華大切りも、師匠方のベンベンもご愛嬌で、聞かせていただきたいものだ。
なに?師匠方こちらもあちらも長く暮らして、そない懐かしいもの、今更、今様に下げられるかいなぁ?
そんな、心配することあらへんあらへん、そんな時には
大王を飲んで下してしまう。
お粗末さまでした。
味の招待席は、あかんあれを思い出したら、キッチュのぶぶ漬けしかもう出てこないようになるから。あかんあかん。あかんのやでぇ…
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