六月に雨が

You should take your umbrella.

短歌の目 4月の感想

 

 

 

こんにちは、初心者です。

初心者ですが、短歌を読むのも本当に楽しい!と読んではいい!とかすきだなと嬉しくなっているので、ほんとに感想ですが一度書いてみようと思い、書きます。

 

 

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感想を書き始めた時点で読んでいたうち、各お題にいくつかずつにさせてもらっています。

詠み手の意図とはぜんぜん違うよーとか的外れだったりするかもしれませんが、すみません。堪忍して、また正解をご教示いただいても幸いに思います。

 

 

 

4月のお題 10首

1.入

 

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KAWAZOI (id:kkzy9) さん

1.入

足元に気をつけながら手を伸ばし掴んで落ちた、入口の前。

 

 

入り口の前で、何を落としたのかな?と最初は思ったのですが…よく読んだらあれれ?何がどうなってるんだろう、って…そこで急にくるんと世界がひっくり返ったような気がしました。ひっくり返るけれど捩れてループしているような、言葉の連なりにずっとぐるぐる回ってしまう騙し絵のような感覚がするのがおもしろい。

 

 

 

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稲沢有 (id:sociologicls) さん

 

1.入
「ぼんやりと覆うナニカ、消え給え」ミルクを入れたコーヒーを飲む

 


コーヒーにミルクが広がるようなナニカ…なのかなと思うと、自分も毎朝していることなのに、霧のような不安に包まれているような気が。
いつの間にか広がっている白い霧、その中を恐る恐る手探りで進んでいく…春のなんだかぼうっとしたりゆううつになったり、新しく始まったりすることへの恐れにもつながっているのかもしれないと思いました。

 

 

 

2.粉

 

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林 矢子 (id:naoco) さん

 

2.粉

開けたての白粉仄か漂わせ会いに行きます懐かしい人

 


恋の面影も感じた歌なのですが、会う喜びの中に後悔とかはないんじゃないかと思う、とてもきれい。

いい思い出なのか、懐かしいと素直に言える今の心がまっすぐだからなのかなと思う、朝の光の中で鏡に向かっているような、清々しい姿が浮かびました。

 

 

 

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なぎさらさ (id:negi_a) さん

 

2.粉

 蕾咲く瞬間よりも受粉する瞬間が見たいセーラーのまま

 

 

”セーラーのまま”という結びに、早熟な女の子の目が浮かんでドキっとしました。

ストレートですが思い浮かんだのは、少女Aから禁区の頃の中森明菜
だからか惑わされているようで、女の子は真剣かもと、ふと思い…

なぜかおじさんのような心情になり、聞けずに惑う、揺れてドギマギ、おじさんもう一人でカラオケ行って青春の歌歌っちゃおう泣きながら…そんなことを思った歌でした。

 

 

 

3.新学期

 

 

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目 (id:ankoro)さん

 

3.新学期

菜園は種まく毎に新学期 卒業生らを茹でて食べたし

 

新学期、というお題に、どの、いつの、誰の新学期~って出そうで出なくて頭抱えていたのですが、そんなものを軽々と超えていくように
人ではなく、いずれ食べられる卒業生たち…
でも、あっと驚いたあとに、素直に納得する。

おめでとう、では美味しくいただきま~すって思いました。
小さく芽が出てくるの赤ん坊のように可愛いと思う、でも食べちゃう。

家庭菜園の不思議なようで素直な喜びを感じるからかもしれません。

 

 

 

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きまや (id:kimaya)さん

 


3.新学期
跳ね回る光の中に子どもたち 新学期には いつも期待を

 

子供達そのものが光なのかと思う、眩しいような新学期の朝の光景が浮かびました。そこからちょっと距離を置いて冷静に、でも期待するって知ってる気持ちで見てる、ちょっと先輩の目線のように感じました。

きれいな光景だけれど心からすっと出た言葉のようにそのまま胸に入ってきて、並んで見ているように、ほんとだね、と言葉を返したくなったのが、なんだか懐かしいような気がしてすきだなと思いました。

 

 

 

 

4.フール

 

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緑茶i (id:ryokuchai)さん

 

4.フール

今日だけは連絡しない 嘘つかないしつかせない エイプリルフール

 


嘘をつく、ついてもいいという日を逆手にとって、でも、してやったり、って感じではないんじゃないかなぁと。
なんだかせつない意地を感じて、女心だなぁとても思いました。

好きとか嫌いとか言ってないのに、言うよりよっぽど恋の感じが出ているような、せつないけどいい歌だなと思いました。

 

 

 

 

5.摘

 

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id:ryo71724 さん

 

5.摘
通学路 子犬に猫に 光る石 お花摘み摘み 探検気分

 

子供にとって通学路って、ちょっといつもと違うことやものがあっただけで新鮮で、ドキドキするもので、

春に花が咲く、子供が摘めるような花だから小さな小さな野の花かもしれないけれど、そんな細部にも目を輝かせる姿を感じました。
楽しさのあまり寄り道が過ぎると親はやきもきもするんですけど、子供が楽しそうだとやっぱり嬉しいお母さんの目、気持ちもとても感じました。

 

 

 

yoritomo2.hatenablog.jp

 

頼朝 (id:yoritomo2)さん

 

5.摘

良い果実 作るためとは 分かってる しかし摘果は したくないのよ

 


キッパリ「しない」ではないのが、本当の心情のように感じました。わかっているんだけど、でも…って、葛藤しながらも小さな決意があるようで、じわっと人間味が滲み出ているように感じる。
迷いながらも日々ちょっとした決意を胸に生きている「人」をすごく感じる歌でした。

 

 

 

6.異

 

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えこ (id:bambi_eco1020)さん

 

6.異

トントトン ちょっとそこは開けないで これは異国の入口だから

 


異国の入り口、という言葉に、不思議の国のアリスも浮かんだのですが、もしかしたら自分の世界に無断侵入しないでね、って線を引いてるのかもしれない、可愛いことと強さと両方あるようで、えこさんらしさを勝手ながら感じました。

「一人にして!」って感じじゃないんだけど、「ちょっと」っていうのに、周りの人たちと自分だけの世界とのバランスをとることって大事、と思った歌でした。

 

 

 

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はなこ (id:hana5521) さん

 

6.異

異国へと旅立つ背中押す父の「行け」と「行くな」が両方聞こえ

 

 

親の心の声を聞いている子供の歌と思いましたが、親が心配を隠して応援しようとしているなら、子供も聞こえていても聞こえていないふりしているのかもしれない。
両方にちょっとずつせつなさがあって、お互いを思いあっているってことでもあると思うのですが

よく「子供には人の気持ちがわかるように育って欲しい」っていうけれど、なんていうか、人や成長ってやっぱりちょっとせつないことでもある、と感じる歌でした。

 

 

 

7.花祭り

 

自分がものすごく悩んだお題だったからか、たくさん飛び込んできた好きな短歌がありました。

 

 

tuchinoco.hatenablog.com

 

いまだなつき (id:imada-natsuki) さん

 

7.花祭り

花祭り 近所の新興宗教は熱狂的に甘茶飲み干す

 


見たことがないんだけど、なぜかわかる気がする光景で、熱狂的というと怖さもあるんだけど、でもきっと私の身近、日常の中にもいるような人たちなんだろうなと。

それを見ている詠み手の目はあくまでも平熱、落ち着いてみているような冷静さがすきだなぁと感じた歌。

読んだ時、子供の目のような感じがしたんですが、わかってないなんて思ったら大間違いだよ、と思うようなちゃんと見ている子供の目が浮かんできました。

 

 

 

matoyomi.hatenablog.com

 

局長 (id:kyokucho1989) さん

 

7.花祭り
 つまさきのアイドル両手に花祭り 家を出てからかかとはつかず

 


キリーンスマッシュ!でもある2700の「つまさきのアイドル」という歌ネタからだと思うのですが
なんて言えばいいのかわからないんだけど、一回聴くとずっと残っちゃうだけじゃなく、独特の不思議な世界の感じと、

アイドルという存在に感じる、不自然なことも自然にしているように見えることが不思議な感じも重なって、
それを両手にしている人の心情だとしても無理がない、ふわっふわになるよそれは、とちょっと地面から浮いているような浮遊感を感じ、納得した歌でした。

 

 

 

karahutochisimakoukanjouyaku.hatenablog.com

 

ちんさん (id:karahutochisimakoukanjouyaku) さん

 

7.花祭り
花祭り 遠未来でも多分やる  三千世界が続いているから

 

 

伝統的な行事ですが、遠い未来を言われたことで、すごい曼荼羅が目の前に広がったように思いました。

十万億土なんだもの。あぁグルグルと繋がって回ってどこまでも続いている世界…と思うと、浮かんでくる煌びやかな曼荼羅の絵に、サイバーパンクのSFに酔ったようでもあり、もう毎日が花祭りでもおかしくない、甘茶の味もきっと極楽のように違いないと多幸感でいっぱいになったように思いました。

 

 

 

fktack.hatenablog.jp

 

id:fktack さん

 

7.花祭り

花祭り お釈迦様から 毛が生えた 甘茶ごくごく 元気モリモリ

 


毛が生える?とまったくわからないんだけど、花祭りの実態を詳しく知らない私からすると

あ、そういうお祭りなのか?って思ってその絵まで浮かんでしまう説得力。

仏のパワーを分け与えられて元気もモリモリ出るんだ・・・って、fktackさんの文章から時々うける感覚そのままに、嘘か誠かがさっぱりわからない、だけどなぜか痛快に感じる短歌でした。

 

 

 

sampo.hatenablog.com

 

id:k_sanpo さん

 

7.花祭り
花祭り甘露飴でも嘗めますか 天上天下唯我独尊

 


天上天下唯我独尊”とお釈迦様の言葉も入っている歌だけれど、我も彼も同じ地上に住んでいる、というようなことを感じた歌でした。

難しく考えたり肩肘張っている時に、ポン、と肩を叩かれたように力が抜けて

お釈迦様に限らないのかもしれないけれど、つい上に置くというか、とりあえず拝んじゃおうとするんだけれど、同じ平らな場所で話を聞くほうが本当はちゃんと聞こえるんじゃないか、

って、わかりにくい感想ですみませんが、何かに向かい合う時の態度、構えない心構えのようなものに、ハッとした歌でした。

 

 

 

 

8.あらたまの

 

あらたまの、もそのまま入れようと思うとどうしても古典をなぞったようにしかならず、難しいお題でしたが

 

 

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卯野抹茶 (id:macchauno)さん

 

8.あらたまの

あらたまの貼るオンパックス腰にすえかかってこいや永劫回帰

 

こういうかかっていきかたもあるんだ、と感じた卯野さんの短歌でした。

”かかってこい”は強い言葉だけど投げずに正面からこちらがかかっていく勇気を感じ、

すごくデリケートな心情や言葉の時でも、それを短歌にして出す時の思い切り、勇気みたいなものにハッと胸をつかまれているのかもしれないと思いました。

お忙しい中毎月主催ありがとうございます。腰はでも大切ですから大事にしてくださいませ。

 

 

 

xacoux.hateblo.jp

 

赤穂 (id:xacoux) さん

 

8.あらたまの
ざあと落つ花の行方を悲しむも度訪れるあらたまの春

 

 

ざあ、という花の落ちる音の表現にあっけなさや無常を感じるのですが、でもまた来るというよろこびが”あらたまの”という言葉と響きあっているように感じました。

散ってまた咲く、自然の営みにかなしみやよろこびを見てしまう春という季節をとても感じ、そんな自然や時間の中で生きているのだから、感情も自然なこととして見ている、そんな気のした歌でした。

 

 

 

 

9.届け

 

mah-sokosoko.hatenablog.jp

 

mah(まー) (id:mah_1225) さん

 

9.届け
今はまだ必要のない言葉でも きみに届け いつかの夕暮れに

 

瑞々しさをとても感じました。

届け、って使いやすい言葉のようで、なかなか本心から素直に出てこない言えないと自分の短歌を考えていて思ったのですが、

まっすぐに思いが飛び込んでくるような歌に

夕暮れもきっと鮮やかな色の絵が浮かび、届くといいな、と人のことながら思いました。

 

 

 

yama-aki1025.hatenablog.com

 

真山秋春 (id:yama-aki1025)さん

 

9.届け

届かない、届くはずないこの思い 届けたいのに中身が無いの

 

せつない、と感じた短歌。でもこのせつなさに言葉も出なくなる感じがいいなと沁みました。

誰も感じることがあるのかもしれませんが、それを生のままではなくて短歌に詠んでいるからなのか、そっと届くように入ってきた。

だからただ受け止めて、そっとしまっておきたい歌かもしれません。

 

 

 

10.ひとつ

 

 

zeromoon0.hatenablog.jp

 

虚無透 (id:zeromoon0)さん

 

10.ひとつ

 「花びらを誰にも見つからないように」「ひとつ隠して」「見られてはダメ」

 

ぜんぜん違っていた、とご自身の解説を読んでわかりましたが、すみません。

誰と誰が話しているんだろう?と想像していました。
具体的なことのようで何の場面?と考えたらすごく不思議で、少女達の秘密の約束のようでもあり、春を運んできて連れて行く…そんな世界の秘密のようでもあり…

映画の予告を見たように想像してドキドキワクワクしていました。

 

 

 

 

hirinzu.hatenablog.com

 

緋綸子 (id:hirinzu) さん

 

10.ひとつ

茶碗ひとつ 湯呑みひとつと 好きなもの 選んで始まる ひとりぐらしは

 

浮かぶ場景に新しい生活が始まる清々しさを感じ、真新しい畳の匂いを思い出しました。

自分のはじめての一人暮らし、新しい始まりの楽しさと不安を思い出し、柔らかな瑞々しさに勝手にエール送りたくなると共に、このひとつひとつは小さいけれど大切な「ひとつ」なんだと感じた歌でした。

 

 

 

 

 

以上になります。