六月に雨が

You should take your umbrella.

もう一度と言わず何度でも

読みたい漫画のリストをあげておく。(どれも新作ではない。新作は人様のリストやオススメあれこれを見て、おぉ~とメモらせてもらっています。)

 

 

 森脇 真末味

今手元にあるのはこの緑茶夢シリーズ。「スラン」というバンドを中心にした音楽・青春もので、確執やぶつかりあったりしながら成長していくバンドの子達の姿に、こんなにざわざわしたり、熱くなるかね?と思うほど心かき乱されるのがいい。

 

 

緑茶夢(グリーンティードリーム)―スラン (小学館文庫)

緑茶夢(グリーンティードリーム)―スラン (小学館文庫)

 

 

この「スラン」ボーカルの弘も、わがままとか傲慢とかを超えて危ういイカレっぷりがなんともいいのだけど、これに収録されてたかな?自家中毒を起こすくらい神経質で繊細で…と言っているけれど…と弘の実態が描かれている「笊のような神経」はおかしくも、人間やなぁとなんかもう愛しい。あとやっぱりロックバンドの話で「おんなのこ物語」もいいんだけど

 

森脇 真末味でなんといっても好きなのは

ブルームーン (1)

ブルームーン (1)

 

 このシリーズ。戸籍も提出されていない双子の英一と英二は、社会的責任も義務もなく二人きりで、精神的には結合双生児のように繋がりあったまま生きている。普通ではない人生、普通ではない彼らにも、けれど人生の岐路が訪れ…

気がつくと表面的な顔をスッとバターナイフでも使うように斬り開かれているような気がしてくる漫画だった。

彼らに近付き傷ついて去って行った人々も、こんな思いをした、させられたんだろうか?

それなのに目が離せない…

そんな漫画なのに一度手放しちゃったので、もっと切り裂かれるようなこのグリフィンと共に、またもう一度読みたい漫画。

グリフィン     ハヤカワ文庫 JA

グリフィン ハヤカワ文庫 JA

 

 

絵柄もしっかりしているけれど、描かれる人々が、素晴らしいことも残酷なことも人の行いとしっかりと感じさせてくれる。だからじりじりと痛いのだけれど、切り開かれて剝き出しにされるのは、モンスターなんかじゃないから恐ろしく、魅せられるのかもしれない。

 

 

 

夢見る惑星のような壮大な長編もいいけれど、佐藤史生の短編も好きだ。

未来の宇宙での人類を繋いでいくための…という表題作のやどり木。けれどなんとも叙情的な少年たちの学園生活。

SF的であったりする設定と、日常のあわいというような所に、とても惹かれる。

やどり木 <佐藤史生コレクション>

やどり木 <佐藤史生コレクション>

 

 

そして少年や少女たち。

死せる王女のための孔雀舞 <佐藤史生コレクション>

死せる王女のための孔雀舞 <佐藤史生コレクション>

 

 

連載で読んでいた時も一番好きだった「死せる王女のための孔雀舞」表紙になっている横顔といいこの話の主人公であるのか語り部といえばいいのか…七生子のことも、ずっと忘れられない。

おかしなことに、まるで同じ教室にいた、一見普通で平凡な少女のようで誰とも違うものを見ていたような子のように、どんな大人になったのだろう?とふと思ってしまったりする。七生子のことだから、地面から浮いているようでも、しっかり足を着けてこの世界に生き続けているだろうな、と思うのだけれど。

ほか「この貧しき地上に」「春を夢見し」など短編集のどれも、淡い霞みの向こうにまだ誰かがいるような、幻のような後味、不思議な余韻をいつまでも残していく。

 

佐藤史生といえば「ワン・ゼロ」も忘れちゃいけないけれど

ワン・ゼロ (1) (小学館文庫)

ワン・ゼロ (1) (小学館文庫)

 

 

打天楽―ワン・ゼロ番外編 (小学館文庫)

打天楽―ワン・ゼロ番外編 (小学館文庫)

 

 

これは手放さないで置いてあるので折にふれて読んでいる。古代アジアから渡ってきた鬼神たち、最先端科学であるコンピューターと現代の宗教人たちが織り成していく奇怪な曼荼羅。巻き込まれたのか、引き起こしたのは彼ら自身なのか…ごく普通の学生のはずだった少年たちに起こる、奇妙で刺激的で、幻想が現実さえも塗り替えていくような物語は、何度読んでも楽しい。

 

 

ちょっとタイプは変わるけれど、清原なつのの「花図鑑」シリーズも

花図鑑 4 (ぶーけコミックスワイド版)

花図鑑 4 (ぶーけコミックスワイド版)

 

 

かつて女の子だったら心にぐっときちゃう花たちの物語。女の子がわからないと思う男の子もこれ読めばいいのにな、と思うくらい女の子の、女の、いい本だと思う。

 

 

 

ただずっともう一度読みたいと一番願っている漫画は、もう読めることはないのかもしれない。


星の時計のLiddellもよかったけれど一番好きなのは「草迷宮・草空間

こんなに手放したことを後悔している本はない。数年前にオークションかどこかで出品されていたけれど、目の玉が飛び出て落ちるお値段で、目玉を拾って洗ってもう一度桁を確かめても、とても思い切れる価格ではなかった…

 

…と思っていたら今やamazonにも出ている!

草迷宮・草空間

草迷宮・草空間

 

 

しかしお値段¥3,914~¥8,980…う~ん…あの時よりはまだ、常識的かなとは思うけれども、どうせであれば一番状態の良いものを…とやっぱり思うし、そうするとやっぱりこれはけっこうなお値段だねぇ…(と個人的には感じます。)

う~ん…ということで、ようやく見つけることは出来ましたが、しばらくamazon眺めては、う~ん…唸ってるんじゃないだろうかと思います。

これじゃなかなか気軽にオススメも出来ないけれど…

ただ作品は本当に美しい。こんなに隅々まで美しく、本物の夢のような漫画は読んだことがない、いまだに夢に見てしまうような漫画。

 

私はこの本を読んで日本人形も怖くなくなった、愛しくなったんだった、そういえば。

 

 

 

そのほか坂田靖子と、少し耽美的な色合いの幻想を描く波津彬子は、ずっととってあったり見つけては手にとって読んでいるのだけど

 

 

波津彬子といえば、まつざきあけみも思い出すけれど、あの美麗な絵で破壊的なギャグ漫画が忘れられない「ぼくらは青年探偵団」ももう一度読みたいな、復刊希望。

 

本、というか小説読む人ってわりと漫画も読むんじゃないか?と思うのですが、漫画あんまり…という人もこの人たちの漫画ならおもしろく読めるんじゃないかな?という気がします。

自分も読みたいんだけど読んだことないよ~という人も、よかったら、機会があれば楽しんでいただければと思う、漫画たちでござんした。